次のオーディオねたは95dB/W/m以上の能率のスピーカーを作った~と、するつもりだったけど何故かブレてしまった。
キットで真空管アンプを作った。エレキットのTU-879S。6L6GCシングル、8Wちょい。安く出ていたのでチラチラとは 横目で見ていた。「今さらキットねぇ」という気持ちも有るけど、最近工作をしていないなと思い、勉強を兼ねての製作。 やはり、半田付けが恋しくなる?のでしょうか。そう言えばキットは成人してからは作ったことが無かった。 高校生の頃、ラックスキットのA800シリーズやA500シリーズを作ったことが有るけど、良く出来たマニュアルに助け られてプラモデルを作ったような感覚しか思い出せない。 その後、成人してから?は、専ら本を見て電卓片手に作ってきた。 正直言えば、家で(お店でなく)メーカー品の真空管アンプを聴いた事が無いのだ。無論、店では沢山聴いた事が有る。 でも、あんなに他の機器(特にはスピーカー)があって、スピーカー切替器のような「ジャングル」が接続されている環境で 何が判るのだろう・・・・か?・・・・話がそれた、で、メーカー製の真空管アンプを家の環境で聴いてみたいなと思ったのが 直接の動機。でも、ちょっと聴いてみるには完成品は値が張ったので特価品のエレキットとなった。 箱姿で7kg程度。片手で持つには、ちと、重たい。エレハモ.の6L6GC⇒6L6EHが付いている。 初段は12AX7(大陸製)。 丁寧、いや「コレ位の物を組み立てようと思う人は判っているよ」と思いたいけど、そうでないことが往々にしてあったり した?のでしょう、事細かに書かれた組み立てマニュアルが添付されている。また、しくじった時のスペア部品の購入や、 組み立てたけど動かなかった時の手直しサービスまで案内されている辺りは、長年この手の組立てキットを手がけて 来たから出来る事だろう。 組立て後半の方になると全部の袋に穴が開いてしまう。ネジなどは+@の個数が入っているが、これは心臓に悪い(笑 主要回路はプリント基板にて組まれる。ガラエポ.が奢られシルクもキチンと入っている。W数の大きな抵抗器の下など 大きな放熱用の丸孔が開いていたりする。ケミコンが基板丸孔を貫通して取り付けるようになっていたりしてタマゲる事も あったけど、ランドの設計も的確だし、部品の配置もそんなに変わった物ではなかった(出力管の間に有るケミコン類は 低ESR品、105℃品)。基板に部品マウントし終えるには3時間もかからないのでは?と思う。 アンプ部はなんら変わった事はしていないけど、高圧B電にFETでリップルフィルターを組んでいたり、初段の ヒーターを交流点火ではなく直流点火していたりしてS/Nの向上に特に気を使った設計がなされている。スイッチ類も アースを取る為だけにわざわざ別基板を設けたりしてボディエフェクトノイズ対策がなされていてノイズに気を使った 設計がなされている。さらには初段で生じるグリッド・オフセットを切る為のカップリングコンデンサーも入っている。 反面、その初段直流点火のヒーターの間に初段管をライトアップ?するLEDが挟まれていたりもして、ちょっと笑える (LEDにはフィルムコンをパラう)。とは言え、凝った意匠・機構も再現性の良い設計で一発で組上がり、全体で6時間も 時間をかければ音が出てしまうのも優れた設計の結果だと思う。 出来ちゃえばこんな。 基板タイプの真空管タイトソケットがとてもきつくて真空管を挿しづらいことと、件のライトアップがイマイチなのと、 寸法比が変わっていること以外は余り気になる点は無い。 出力トランスも結構大きいのを使っているのに、6BM8に負けちゃうのは何故と回路図を見ると初段カソードは2kΩに 100μF、出力段のそれは330Ωに100μF。初段は良いけど出力段はカットオフ周波数が高いのでは?CR結合も 0.1μFに330kΩなのでもう少し下げたい。後段に出力トランス、そしてさらにはスピーカーがつながるとは言え、 低域のカットオフはせめて1Hz以下にしないと、なんだか低音が軽くなるし音楽がつまらなくなる。 『人間の耳は20Hz以下は聴こえない。スピーカーだって満足に再生出来ないのだから、そんなに無闇に低域のカット オフを下げても意味が無い。』ということを言う方もいらっしゃる。だが、初段のカップリングを廃し、段間のCを 0.47μF、初段カソードのCに470μFを出力段のそれに1000μFをパラってやるだけでグッと再生される音楽は生々しく そして面白くなった。自作なら当たり前の計算値だけど、メーカー製だとコスト等の制約から判ってはいるけど(本当?) 出来ない事もあるのだ。 ・・・と、ここは思おう<(_~_)> 加えては「改造なしで出力管の差替えが可能なハイコストパフォーマンスモデル」というのが謳い文句では有るが、 どう考えても6L6GCとKT88を差し替えても良い設計というのは、6L6GCの方に最適化してあるはずだから、 KT88にとっては物足りない動作であると思う。手元に大陸製の6L6GCより大きな定格の球があるので、 一緒に並べての画像を撮ってはみたけど、ただ、差し替えても動作しますよ、と云うのと、(このB電圧での) ベストの動作とは、全然、違うような気がしてならない(結局まだ真剣に「ただ、差し替えて」は聴いていない)。 恐らくは、KT88や6550を挿すなら自己バイアスのカソード抵抗の値をもう少し小さくしてやらないと、 電流を流した、それらしいガッツの在る音は出ないと思う。 長々、御託を並べてみたが総じて良く出来たキットであることは間違い無い。 「音はなんだか軽め」と書いてはみたけどこれは僕の個人的な趣味。諭吉さん3枚ちょいで8Wという(球アンプでは) 高出力が得られるアンプが、手に入るのは素晴らしい事だ。出来上がりの意匠も、弁当箱に穴あけして・・・の 自作品とは比べものにならない。でも、自分で負荷線を引いて、部品を集めての自作と違って、組上げただけとは言え、 プールから帰った時のような感じの疲労感、いや、モヤモヤ感が在るのはナンデだろうか? (やっぱりオシロ.を何とかするかなぁ・・・・・) 追記:そうそう、これをやらなきゃアンプを作った事にはならないのだ。 大概の方はケーブルだの、インシュレーターだの、コンデンサーの銘柄だの・・・何だか怪しげなのには、ご熱心なのだけど、 「これ」みたいなのは余り気にかけられていない(いや、考えもされない鴨)。皆さん、「これ」どうなさっていますか?
by afuroyan
| 2011-02-13 21:58
| audio
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Comments(4)
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bmwk_rs at 2011-02-14 05:13
地方にいると部品集めって大変だけど、キットは部品代として総じて安いし無駄をせずに済むので好きです。
でも改造したくなって、結局は高くつくのですが。 ところで、写真のVESSELの工具って何ですか?
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afuroyan at 2011-02-14 13:14
bmwk_rsさん、地下鉄に乗っちゃえばアキバ.なんですけど、さほど行きたい街では
無くなっちゃったんで困りましたね。キットは無駄なく完成できるので確かに良いモノですね。 改造、皆さん色々やっているみたいですね。僕もやりだしたら原型を留め無いほどまで やってしまうので「キタナオーディオ」街道まっしぐらになるでしょう。 VESSELの工具はワイヤーストリッパーです。 http://www.vessel.co.jp/handtools/info/2009/10/no3000.html 配線材の皮むきが物凄くヘタなので、これで「ガッチャン」とやります。
よくできたキットのようですね。だからこそ、動いたときの充足感が足りないのかもしれません。
やはり試行錯誤が工程に含まれていないと(笑)
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afuroyan at 2011-02-20 19:36
kinaさん、いらっしゃいませ。
そう、良く出来ているんで作業指図書(マニュアル)に沿って作業しただけ なのでちょいと物足りません。これを改造のベースに色々な記事を書いている方もいらっしゃいます。 作ってから、また、忙しくなっちゃったので時定数(とスタガリングの調整)程度で 止まっています。やっぱり測定器がないと(せめてまともなオシロ.だけでも)、 電気・電子工作はツマラナイものですね<(_~_)>
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