ふれーるじゃっく
で、チューバネタが続きます。
このマーラーの交響曲第1番の第3楽章の中心テーマは葬送、つまりはお葬式の野辺の送りなのでしょう。
何のお葬式なのかは諸説あるのでしょうがカロ風の葬送行進曲なんて副題が付いていたこともあるし、中間部で
「さすらう若人の歌」の中の4曲目「彼女の青い眼が」が引用されているからには青春の思い出の葬送なのかもしれません。

第3楽章はティンパニのホテホテ・・・トボトボという響きに始まり、弱音器をつけたコントラバス、次いでファゴット、
そしてチューバのソロが輪唱の様に続きます。このメロディ、フランス民謡の「フレール・ジャック」が元になっているようです。
「フレール・ジャック」、日本では「かねがなる」とか「グーチョキパーでなにつくろう」なんて歌詞が付いています。
ひどく明るい曲です。一方、マーラーで聴かれるメロディーは短調でうら寂しく虚無感に満ちた、まさに葬送曲という曲想です。
調べてみるとオーストリアなどの一部の地域では葬送の曲を連想させる短調で歌われていた歴史がある(参考
ということなので、作曲当時(1888年)のオーストリアの人達には、この短調バージョンの「フレール・ジャック」を聴いたら
葬送を連想してしまうような「コンセンサス」が出来ていたのでは?と考えてしまいます。

このチューバのソロ、難しいと思います。弱音器付きコントラバス、ファゴット、その次にppで入っていくのですけどppですよ。
前のふたつの楽器とは比べ物にならない位、弱音が難しい楽器なので「バーン」と出ちゃったら・・・・怖いですね
このようつべだと10分14秒くらいのところから)。←削除されちゃった<(_~_)>

話し変わって大好きな何度も見る映画に「素晴らしきヒコーキ野郎」という20世紀フォックスの映画があります。
原題からすると「素晴らしきヒコーキ野郎 または私は如何にしてロンドンからパリまで25時間11分で飛んだのか」となり
「博士の異常な愛情」の「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」
という前の年(1964年)のキューブリックの作品よりも長い題名(邦題)になっています。
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1910年、ヒコーキ(Flying Machine)黎明期。ドーバー海峡横断レースのドタバタコメディです。歴史的な復元実機の
飛行シーンがとても見ごたえある貴重な映画です。後の「チキチキマシーン猛レース」を先取りするような悪ノリもあります。
裕次郎も日本代表(でも、あれは中国だな)で出場しますが、ブラック大魔王みたいな妨害・陰謀キャラのパーシー卿に
機体を細工されて、離陸後墜落してしまいます(残念)。
この映画、各国の出場者のお国柄がかなり誇張されて描かれていてこれがまた笑えます。

イタリア:陽気で多弁で子沢山で、新もの好き。フランスの次は嫌。気分が良いとカンタービレ。
アメリカ:粗野だけど正義感?が強く行動的。最後までヒーロー。まあハリウッド映画だから仕方が無いか。
イギリス:紳士とはいえ、体面やメンツにこだわるところも有る。主催国ということで多少は良く描かれているのかな。
フランス:徹底した好きモン。いい女を見ると片っ端から声を掛けるという徹底した描写。ドイツをおちょくりまくり、
      気球とラッパ銃で決闘までしちゃう。
ドイツ:「ドイツ人に不可能は無い」ということで教科書(マニュアル)片手に、ブラック大魔王に下剤を盛られて操縦不能
     になった部下の代わりに機に乗り込むことになったホルスタイン大佐役のゲルト・フレーべ(007 ゴールドフィンガーの
     ゴールドフィンガー役です)の演技が凄い。凄い!!  でも、この映画の中では徹底してフレンチにおちょくられる。
日本:裕次郎がヤマモトの名で出ている(なんで忍者みたいに凧で飛んでいるんだ?)。「(出場する為の)ヒコーキがありません。」
    すると先生(忍術の?)が「こっちのとこっちのを組み合わせて、ほら立派なのが出来ました。」みたいな描写があって、
    組み合わせて何か作るのは得意だけどオリジナリティが無いという、痛烈な描写がされています(1965年の作品)。

そこで気になるシーンがありました。ヒコーキの格納庫がドイツとフランスで隣り合っていて一日の終わりに国旗を降ろして
仕舞うシーンがあります。ドイツが軍隊調に号令をかけて規律正しく「カッ!! カッ!!」とやっている横で、フレンチは助手に
「いいこと思いついた♪」とばかりに耳打ちをして、恭しく蓄音機を出して来て、にやけた敬礼をしてレコードをかけながら隣の
ドイツ陣営をおちょくるのです。この時にかかっていた曲は国歌の「ラ・マルセイエーズ」では無く「フレール・ジャック」なのです。
そして、それを聴いて引きつるドイツ側。このシーン、それまでは厳粛な一日の終わりの儀式に、フレンチがおちょくる様な
曲をかけやがって・・・と言うオチだと思っていました。でも、マーラーの短調バージョンの事を考えるとドイツ・オーストリアでは
「フレール・ジャック」はお葬式の曲ということで、「むぬぬ、葬式の曲なんぞかけやがって」というオチにも思えてきた。
これはあくび.のアイデアだけど中々面白いと思って、色々調べてみたけどネット上にはこういう説は無かった。
もっともドイツ、オーストリアの歴史の事を調べてみたらエラク複雑怪奇で、ヨーロッパの大陸続きって大変なんだなと思う次第
(イギリスは島国だけど民族的には大陸の人達らしく・・・)。

正月には、この「素晴らしきヒコーキ野郎」とベルリンフィルの「春祭」のライブのDVDを見るのが、ここ何年かの慣わし。
長めの作品だけど何度観ても面白い。
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by afuroyan | 2009-11-23 14:18 | mixed | Comments(6)
Commented by coolys1 at 2009-11-26 17:02
私もこの映画は子供の頃に映画館で観たきりでした!!
裕次郎のシーンはなんとなく覚えている(酷い扱いだなぁなんてね)
でも諸々のエピソードは殆ど覚えていない為に、現在子供や妻に説明のしようがなかった感じでした。

イタリアンジョブといい、欧州の国家間オチョクリは一種の儀礼なんでしょうかね?

私が凄く印象に残っている映画でのイギリス人とアメリカ人
(共にジャーナリスト役)が戦火のコソボで語り合う会話では
お互いに相手国のスポーツや習慣をけなし合った末に

アメリカ人が
「でもイギリスはいいものを二つだけ作った」と

それは何だ? イギリス人が聞き返すと

「そりゃー ビートルズとアメリカだよ」

日本はこういう会話にまだまだ入れないんですねきっと

1942でもおちょくられたし  笑
Commented by afuroyan at 2009-11-26 23:34
coolys1さん、どうもです。ミニミニ~は、なんじゃかんじゃ欧州車が出てきて面白いですよね。
キャノンボールよりハチャメチャと思えるノリがありますね。国家間のオチョクリはやっぱり
陸続きだから出来るのでしょうね(イギリスだって中世以降はゲルマン系アングロサクソンや
ノルマン系フレンチだから大陸の人達でしょう)。悲しいかな日本は「黄金の国ジパング」の
時代が長かったからか、とてもヨーロッパ大陸の人達と同列にはなり得ません。
人種的というより文化いや、文明的に根っこが違いすぎるのかもしれません。
もっとも、1941はちょっとひどいですよね。本当にスピルバーグの映画なんでしょうか?
反面、海外の映画に出てくる変な日本人を探すのも面白いです。ブレードランナーを筆頭に
最近知ったのではジョディー・フォスターの「コンタクト」で、北海道の怪しげな施設の
さらに怪しげな日本人が強烈でした。
「素晴らしき~」良い映画です。ぜひご覧下さい。
Commented by coolys1 at 2009-11-27 14:11
では、私もお正月映画に観させていただきます!!

ところで映画といえば、邦画を三つほど観ようと

古いですが、
「旅の重さ」「祭りの準備」「龍馬暗殺」みんな郷里ネタですが
「祭りの準備」だけは見た記憶無しです。
Commented by afuroyan at 2009-11-28 21:25
お正月と言わずに・・・(笑
「旅の重さ」、素九鬼子の原作が文庫本であったはずだったんですが見つからない。
学生の頃、キネカ大森か大井武蔵野館あたりの企画上映で見たことがあります。
元祖、お遍路さんロードムービーと言っては乱暴ですが、調べたら、主演オーディション
一位の高橋洋子と二位の秋吉久美子のデビュー作なんですね。\(◎o◎)/!
今、観たい(観直したい)邦画は大林宣彦の「廃市」とATGで観た「ツィゴイネルワイゼン」、
それと桃井かおりがでている「夕暮まで」の3本ですかね(みんな文藝物)
Commented by coolys1 at 2009-12-01 17:51
妙なタイミングですが、監督亡くなっちゃいましたね、、、

まじで追悼で見るかな

当時、高橋洋子好きでしたの。。(今は圧倒的に原田美枝子っすが。)
「廃市」「ツィゴイネルワイゼン」未見です。
ATGだと遠雷ですかね見たの。。。

「夕暮まで」 これも見たいですねーー

考えてみたら映画館でみた最後の邦画ってなんだろう???

「ポルノはつらいよ」シリーズか山田洋次の「故郷」?「同胞」

あっ 「かくし剣鬼の爪」があった!! やっぱ山田洋次だったかぁ 笑
Commented by afuroyan at 2009-12-01 23:52
そうですね。今検索してみてビックリしました。 

「廃市」の柳川の風景なんてもう、映画でしか見れないような気がしちゃいます。
「夕暮まで」の湘南モノレールの風情も捨て難いです(なんといっても桃井かおりですけど…)。
邦画はテレビドラマの延長みたいな捉え方をする人が多くて気の毒です。あまりテレビに出ない
俳優さんの出ている作品を観たいですね。
最近見た邦画・・・・石井克人「茶の味」が妙に残っています。
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